名古屋高等裁判所 昭和26年(う)1203号 判決
食糧管理法施行令第六条に所謂生産者とは同条制定の趣旨に照し名義上の供出義務者たる生産者のみを云うのではなく之と共に一家共同の仕事として実際上生産に従事する本人の妻、息子等の家族をも含むものと解するを相当とする。本件に於て所論滝上重行は父滝上龍太郎と共に農業に従事しその生産した米を売渡したものであることは原審証人滝上龍太郎同滝上重行の各証言に依り認められないことはないから原判決が右重行を判示のように米の生産者と認定したことは相当である。尤も右滝上龍太郎の証言に依れば同人は右米を売渡す事には反対であつたことが認められるけれども結局右重行はその母の同意を得て売渡したのであることは右重行の証書により明かであるから買受人は之れにより米の所有権を取得すること勿論である。従て父龍太郎の意思に反したからと云うて右重行の売渡が生産者の売渡とはならないと云う理は出てこないから此点に於て原判決に事実誤認ありとの所論は採用しない。
(註 本件は法令適用の誤により破棄自判)